彼女の願いを理解できるか『イノセント・デイズ』

小説
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

イノセント・デイズ

この話は、とてもとても暗い話。

きっと、いろんな感情が湧き起こる体験をする。

読後感はズドーンって感じです。

きっとこの話には答えがない。

 

答えを見つけられたとしたら

それはどれも不正解のように思える。

 

正解

正義がひとつではないと

大人になれば誰もが学ぶけれど、

それでも、理解していても

やるせなくなるのだからしょうがない。

 

彼女の出した答えは正解だったのか。

そう自分の頭で考えることすら愚問ではないかと思う。

 

普遍の正解として

生と死があったとして、

生きることを良しとすると

生きられないという感情は本人しか受けられないのに、

変わることも肩代わりすることもできないのに

試練のように、

生きるという正解が襲いかかる。

生きることしか許されない。

それ以外は不正解。たとえ苦しくて逃げ場がなくても。

 

もちろんそう言わなくてはいけない思いはするが、

別の考えもなくはない。

 

他人に対しての許容エリアも人それぞれ違うはずだから、

許せる人もそうでない人もいるだろう。

 

タナトスに誘惑されて

憧れのようにも思って欲しく無い。

残された側になるなら、それはとてもしんどい。

だからといって何の保証もできない人生を強要することはできるのだろうか。

固定概念

大人になる過程では、

固定概念を壊すという試練が待ち受けている。

誰かの正解が

自分が決めた正解だと、

世の中全員の共通だと思い込んでいた頃

大抵の場合は親や周りの大人に

みせられた世界が全てだと疑わなかった。

 

壊すことは痛みを伴う事もあるけれど

そこで初めて殻を破り

世界に出て自分で考え、

作り替えられていく。

 

そうして作られた信念で

大人は作られていく。

 

経験してきたもので信念は変わる。

もちろん前提として

それぞれ考え方や感じ方も違う。

 

わたしの世界と彼女の世界は違う。

見えているものや信じるもの。

 

彼女の世界で自分が生きていたら

自分の選択は彼女とは違ったのか?

と考える。

もちろん違った!

なんて言えるはずがない。

想像するべきは、

自分ならどんな選択をしたかではなく、

自分が彼女そのものなら他の選択をしたかどうかだ。

 

彼女は気付いていない。

彼女のことを考えている人が周りにいること。

本当は愛されていたこと。

伝えるには、遅かったのかも知れない

もしかしたら、周りにいる人の望みの正体を彼女は知っていたのかも知れない。

 

 

 

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました